自発性をおろそかにしたそのツケは・・・
自発性をおろそかにしたそのツケは・・・
自発性は、選択する力に結びつきます。「転ばぬ先の杖」というように、親が子どもの将来を先回りして、手を打ち、子どもが失敗するチャンスを奪ってしまうと、子どもの選択する力を育てることはできません。
もしも、危ないからといって、外で遊ばせることをせず、ふわふわのクッションに囲まれた室内で子どもを閉じ込めて育てたらその子はどのように育つでしょう?
擦り傷や打撲を知らないで育った子は、転倒するときにどのように身を守ればいいかという術を知らず、どの程度の高さならば登っても大丈夫なのか、予測をすることができないので、大きな怪我をしたり、致命的な事故を起こすリスクが高くなるでしょう。
人生についても同じことが言えます。ずっと親の敷いた安全なレールを進んできた子も、どこかの時点で、そんな人生に嫌気がさし、脱線したいと思う時期がきます。
それは、思春期かもしれませんし、あるいは、中年になってからかもしれません。
そんなとき、選択する力が全く育っていなければ、リスクは高くなります。極端な反社会的な行動をとるか、どう考えても幸せになれないようなパートナーを選ぶか、これまで築き上げてきたものすべてを捨ててしまうなどです。これらは一種、自暴自棄的な行動です。人生のある時点で、突然、「自分は何も自分で選んでこなかった。こんな人生は捨ててやる」と、思ったとき、こういうことがよく起こるのです。
人生をやり直すことは、どんな年齢からもできますが。その時に、自分を守る術や危険を予測する能力がどの程度、育っているかが、その後の人生を分けます。
親にできることは、できるだけたくさん、失敗のチャンスを与えてあげることです。
自分で選んだ服だけど、失敗だった。とか
自分で選んだ友達だけど、裏切られた。とか
その積み重ねが、選択の力を形成していくのです。
成功も失敗も含め、自分で選んだことの責任を自分で背負うという経験が必要です。小さくてもたくさんの失敗経験が、大きな失敗や、致命的な失敗を避けることに繋がるのです。