自己コントロールを育む【感情と行動の理解】
感情と行動を区別する
現実には子どもの気持ちをかなえてあげられることはたくさんあるでしょう。気持ちを認めてあげることは必要でも、何もかも叶えてあげることは必要ではありません。
気持ちは認めてあげても行動には制限をもうけなければいけません。腹が立つことは認めても、だからといってお友だちを叩くことは認めることはできません。
自分の要求が通らないこともあることと、我慢することが必要なことがあることを学ぶことが自己コントロールです。
人の心とは不思議なもので、気持ちを認めてもらえることで、もう行動する必要がなくなることは多いものです。例えば、だれかを叩いてやりたいぐらい腹が立ったとき、誰かに気持ちを十分に聞いてもらい、共感してもらえたら、叩きたいほどの腹立ちが治まって、もう叩く必要はなくなってくることはよくあるものです。
例えば、
- 「あれが欲しいんだね。だけど、あれはお友だちのおもちゃなのだから勝手にとってはダメなんだよ。〇〇ちゃんもおもちゃ取られたら嫌でしょう?」
- 「これはいらないんだね。だけど投げつけたら、お友だちに当たると痛いから投げないんだよ(なぜいけないのかを感情を入れずに説明)」
- 「自分でしたいんだね、じゃあお母さんがここ持っているから自分で靴はいてごらん(できない部分は葛藤させてしまうため、子どもの力だけでできるように助ける)」
- 「これがいいんだね。でも危ないからこれか、あれならいいんだけどどう?(思いを満たし代用できるものの提案)」
などと、言ってあげましょう。
この言葉がけをよくみると、最初に子どもの気持ちを認めてあげて、その上で現実にはどういうことなのか、ということを伝えています。現実にしてあげられること、していいことなのかどうなのかを伝えましょう。
どんな感情も表現され、認められる必要がありますが、どんな行動をとるかは自分で選ばなければなりません。これが自己コントロールです。
どうせ感じても出来ないのなら、感じるだけ無駄だ、そんな気持ちはなかったことにしよう、ではいけないのです。表現されなかった感情は、得体の知れないまま、心の底へ沈殿していきます。感情を認めてあげて、でも、行動は自分で選ぶということが重要なのです。感情と行動を区別することは、しばしば、大人になってもとっても難しいことです。